いなべ市立笠間保育園

 

スタッフTです。

 

5月12日未明に三重県にある「いなべ市立笠間保育園」の木造園舎が全焼しました。

 

私は、2014年にこの施設を見学させてもらっておりましたが、

 

プランも、内外の空間もとても素敵な園舎でして、園舎計画をする際に、

 

今でも見学に行った際の写真を見返したりします。

 

(平屋で各方面に外への避難が可能なプランでした。

 

 ただ「10分で全焼」と記事にあったので、出火から10分となると実際は安全とも言い切れないです。

 

 おそらく、記事が不十分な説明で、ある程度燃焼してからの10分ではあると思います)

〈見学時の遊戯室の写真 構造も内装も地元の木材でつくられている〉

 

 

ヤフーニュースでも一般の方のコメントも多く、関心のある内容だったと思います。

 

建築士としては「防火対策が甘かったのでは」「スプリンクラーを設置すべきだった」

 

「地元の木材はいいが、不燃や耐火にすべきでは」といった

 

コメントに目がいってしまうのですが、この施設の用途・規模では

 

建築基準法上、耐火性能を求められない「その他建築物」、又は内装制限なしでもつくれます。

 

(こちらの園舎は防火壁を設置しない、木構造の表面25mmを炭化させる準耐火構造、内装制限なしでした)

 

消防法上もスプリンクラーまで要しない建物です。

 

 

 

どちらの法律も全くの理由なく必要な性能・制限区分を決めているわけではありません。

 

規模・用途ごとに火災が起きても人命を守るように設定が決まっています

 

 

 

コメントの通り、

 

スプリンクラーがあれば、初期消火ができ、ここまでの被害はなかったと思いますが、

 

イニシャルもランニングもコストがかかります。

 

 

木造の耐火も、不燃処理も相応にコストがかかります。

 

(材料コストが数倍になることもありえます)

 

 

「安全な保育園はコストがかかるので、建てるのはやめましょう」というわけには

 

いかないので、安全面とコストと理想・環境配慮のバランスというものがあると思います。

 

そのうえで、この園舎は

 

 

地元の木材・木造に木造にこだわった理由があり、こだわりに応えた園舎だったと私は思います。

 

 

これから設計を要される方は、防耐火設計にも目を向けてもらいたいです。

 

特に上記でも説明した「その他建築物」は制限がないので、任意で防耐火設計を

 

する必要があるので、ある意味難しい設計となります。

 

コストや安全面のバランスに注視いただければと思います。

 

 

 

あとは出火防止は大前提です。火のない所に煙は立たぬです。

 

詳細な出火原因が究明・公開がされてほしいです。

 

そのうえで、いなべ市には園の再興に向かい、また素晴らしい園舎を計画していただきたいです。

 

 

 

ところで、ヤフーニュースとかのコメントって見てて面白いですよね。

 

「一般には、こういう認識してるのか」と、情報把握できますし、

 

「この記事の正否はいかに」とか考えられるので、

 

記事の内容より、コメントを読むのがメインになっている気がしますw

 

最近ではゴールデンカムイの実写化のキャスト予想とか面白かったですね